巨人・澤村 “施術ミス”の波紋( Yahoo ニュース)

 

数日前のニュースですが、ちょっと気になったので書いてみます。

完全に個人の見解ですので、これ以降は参考程度に読まれて下さい。

 

詳しくは上記リンク先の記事を読んでいただければと思いますが、

私が気になったのは、「はり治療によって前鋸(ぜんきょ)筋機能障害を引き起こした可能性が考えられる」と言われていること。

 

複数の医師の所見らしいですが、

鍼が神経を傷つけることの可能性って非常に低いと思います。

 

普段の治療で使われる鍼の太さは 0.16~0.20mm(余談ですが、当院の鍼は 0.12mm です)。

ティッシュペーパーに触れるだけで「ふにゃ」と曲がってしまいます。

それほど細い物です。

 

ペインクリニック等で施されている、

神経ブロックに使う注射針の太さは平均で 0.5~0.7mm です。

つまり、鍼治療用のはりの3倍強の太さ。

 

また、神経ブロック注射は目標とする神経に向かって打つわけで、

鍼治療よりも直に神経に触れる可能性が高いことになります。

裏返せば、神経を傷つける確率も上がるということです。

 

仮にブロック注射が麻痺が残ることを前提とした術式であった場合、

そんな危険な施術を一体誰が受けるのでしょうか。

 

そもそも鍼灸師が「神経を狙って鍼を刺す」なんて聞いたことないですし、

皮膚表面や筋肉に刺激を与えて治療効果を期待するものですから、

わざわざ神経に刺す必要もありません。

 

澤村投手の施術を担当したトレーナーがどんな鍼(長さ・太さ)を使い、

どんな方法で刺鍼したのかが分からないので全てが憶測ですが、

おそらく神経を傷つけたという事実すらないと思います。

 

つまり、鍼治療を受けたという情報があったからこそ、

「じゃあ、鍼で神経が傷ついたんじゃないの?」という結果になるのではないかと。

 

例えば、突然お腹が痛くなって下痢したとします。

多くの方が「何か悪いもの食べたかな?」みたいな発想をしませんか?

食べたものが悪いわけじゃないのに、お腹が痛くなる前の行動だけを取り出して結論を出してしまう。

 

言うなれば、今回のケースも状況証拠だけで結論が出されてしまったと思います。

「可能性が考えられる」と言ってますが、鍼をほぼ犯人扱いしてますよね。

 

現行医療は EBM(科学的根拠に基づいた医療)が基本です。

昔から、よく言われることに

「東洋医学は科学的な根拠がないから認められない」

「鍼灸もなぜ効果があるのか科学的に証明できないから医療じゃない」

があります。

 

それならば、得意の科学を使って、

鍼が神経を傷つけたという科学的な根拠を提示するべきです。

可能性という曖昧な言葉を使うのではなく。

 

「科学的な根拠」「エビデンス」と声高に言う割には、

こういう場面になると原始的な状況証拠だけで判断する現行医療に矛盾を感じます。

 

今回のニュースを見て、鍼灸を知らない一般の方は、

「鍼って神経を傷つける治療法なんだ」という理解しか残りません。

 

日本の鍼灸は約1,500年続く医療です。

痛みを我慢したり、神経を傷つけるのが当たり前であったら、

とっくの昔に廃れています。

 

今回のニュースのようなことが起こると

目の前の現象だけにとらわれがちですが、

鍼灸は脈々と受け継がれた、安全・安心な伝統医療です。

 

結局はこれを伝えたかっただけです。

鍼灸は決して乱暴な治療方法ではありません。

そこはご理解いただきたいと思います。