半年前から来院されている患者 I さん。おぬま治療院では最高齢の部類に入る方。グループホームに入所されていて、日々悪い方へ変化していくことを心配されたご家族がお連れになったという経緯があります。
初診のころは “症状の百貨店” とも言えてしまうような状態で、全身のあちこちに様々な症状がありました。一ヶ月に二回の鍼灸施術を粘り強く続けることで、開始2ヶ月強には割と安心できる状態になりました。
来院当初は転倒しやすく認知機能も徐々に低下していたことから、グループホームでは職員がほぼすべての行動を先回りするようになっていました。I さんの残存している機能はちゃんとしているのに “転倒されたら大変” というホーム側のリスク回避が働くため、本当は見守りながら介助すればできることをやらなくなってしまいます。一緒につきそって歩けばトイレまで行けるのに終日車いすに乗せてしまい歩く機会を失わせる、なんてのはよくある例です。そして、それが日常的になると身体の機能はジリ貧に失われ、最終的には寝たきりからの廃用症候群まっしぐらです。
実際、I さんも初診時はまさにこのような状態でした。小沼にできることは残存した機能をできる限り失わせないようし、ホーム側に I さんが元気になってきたことを認めさせることでした。I さんが元気になってくればホーム側もリスク回避をしなくなると考えました。
鍼灸師としてできることは限られますが、バランスを調整して重心を整え身体が動かしやすい環境を作ること、足の筋力はしっかりしていたので衰えないように運動すること、この2点をしっかり行うことで何かしらの結果が出るはずと開始しました。
開始から2ヶ月強で割と回復したのは上述しましたが、ホームの職員からは『変わりなし』というコメントばかり。焦る気持ちはありましたが、できることを淡々と行うのみと施術を頑張りました。
そして、半年ほど経過した先日のこと、同伴されているご家族より『ホームの職員さんが I さんがすごくよくなったってビックリしていました』『鍼灸ってすごいんですねと言ってました』とお言葉をいただきました。素直にうれしく思うとともに I さんの回復力、ご家族のサポートがあってこその結果なのだと感じました。
ご家族にもお伝えしましたが、鍼灸師って基本的には「待ち」の仕事なんですね。患者さんが来てくださって初めて施術できますし、結果を得ることができます。鍼灸を含め、おぬま治療院に希望を感じて半年間も継続してくださったから I さんが元気になったという結果、そしてホームの方にすごい! と言ってもらえる結果になったんですね。
いつも書いていますが “すべて鍼灸で” “すべてバランス調整で” はさすがに無理です。ですが、施術を継続していくことで何らかの結果が出ます(良いも悪いも)。いま何かの症状でお悩みの方はお近くの鍼灸院へ相談したり、希望をもって続けてほしいです。「治ったらいいなぁ」と思うばかりで行動を起こさなかったら何の結果も出ませんからね。
おぬま治療院で施術を受けてみたいと思われるようでしたら、ぜひ勇気をだしてご連絡くださいね 😀 いつでもお待ちしております。ただし、無香の方に限ります(これ重要です)。