患者 B さんが『坐骨で座るってわかりますか?』とおっしゃった。
それはつまり、骨盤が前傾し、いわゆる “腰が入った状態” のことだと思いましたが、B さんのお話をうかがったところ、それで合っていました。
椅子を用意して、B さんに「坐骨で座っていると意識して」座っていただきました。意識されていますから、骨盤が前傾し、見た目は「坐骨で座れている」状態。
ここで小沼からいつもの質問。『その姿勢でつらくないですか?』
B さんの答えは「つらいです……」
じゃあ、坐骨で座ることは身体が拒否しているということですよね? と言うと「うーん」と納得していない顔 😕
だって、意識せずにラクな姿勢で座ってもらうと骨盤が後傾し、腰椎が後湾するんだもの(腰から背中が丸くなった姿勢)。坐骨で座るとは真逆の姿勢。でも、B さんの身体はこっちがラクだと伝えているわけです。
バランス調整したあとにもう一度確認することを約束して調整開始。
骨盤が後傾してしまうのは首の不具合だったようです。そして、整体後に再び座っていただくと……。
不思議なもので、まったく座り方を意識していなくても(背すじを伸ばそうとか、腰を入れようとか)、骨盤が前傾してキレイな姿勢で座れていました。ラクだしキレイな姿勢になっています。
結局、バランスが整った状態であれば “坐骨で座る” を意識しなくてもふつうに座れるということも体感できたことで、B さんもやっと理解してくださった様子でした。
B さんはどこかで「座り姿勢が悪いと下腹部に脂肪がつきやすくなる」という情報を見聞きしたようです。
こうした情報に間違いはないと思いますが、どうしても方法論に固執してしまい、この場合だと座り方だけにフォーカスしてしまうのです。
座ったときのぎこちなさや違和感は無視してしまいますから、最悪の場合、後々で身体のどこかに不具合が生じるわけです。
B さんも実際には「坐骨で座った」ときに「首が苦しい」ことを自覚していました。ですが、下腹部に脂肪がつきやすくなるというフレーズには勝てなくなり、どうやったらちゃんと座れるのかを小沼に尋ねてこられたのでした。
結果は上述したとおりです。
バランス調整ですべてが解決するとは思えませんが、バランスが整った状態(もしくは維持できている状態)であれば、巷でいうキレイな姿勢や美容によい姿勢をする必要がありません。
なぜなら、「キレイな姿勢や美容によい姿勢」=「バランスが整っていれば自動的になっている姿勢」だからです。逆にいえば、バランスが崩れている状態でそのような姿勢をとろうとしても身体がつらくなるだけです。
見た目や目先の欲求を満たすことを第一とせず、根本のバランスを大切にしたいですね。